名古屋の産婦人科|伊藤しあわせクリニック

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風疹と先天性風疹症候群(congenital rubella syndrome:CRS)

風疹は、発熱、発疹、リンパ節腫脹を特徴とするウイルス性発疹症です。
風疹に感受性のある妊娠20週頃までの妊婦が風疹ウイルスに感染すると、出生児が先天性風疹症候群を発症する可能性があります(後述します)。男女ともがワクチンを受けて、まず風疹の流行を抑制し、女性は感染予防に必要な免疫を妊娠前に獲得しておくことが重要です。

風疹は、1990年代前半までの我が国では、5~6年ごとに大規模な全国流行がみられていました。男女幼児が定期接種の対象になってから、大規模な全国流行は見られなくなりましたが、2004年に、推計患者数約4万人の流行があり、10人の先天性風疹症候群が報告されました。

愛知県では、2008年は3人、2009年は10人、2010年は3人、2011年は13人、2013年は375人、2014年は22人、2015年は13人、2016年は20人、2017年は3人でしたが、今年(2018年)は10月29日現在で90人発症しています。

その90人のうち、女性は12人で20代~40代でした。残りは男性です。男性の35人は40代・50代でした。2018年8月以降急増しています。風疹の初期症状は、感染から14~21日(平均16~18 日)位の潜伏期間(感染しているのに症状がない期間)があります。その後、発熱、発疹、リンパ節腫脹(ことに耳介後部、後頭部、頚部)が出現します。発熱、発疹、リンパ節腫脹を3徴候と言いますが、発熱は風疹患者の約半数にみられる程度です。また不顕性感染が15(~30)%程度存在します。つまり風疹の感染に気付かないまま誰かに風疹をうつしてしまう可能性があるのです。

「風疹流行に関する緊急情報(国立感染症研究所 感染症疫学センター)」PDFダウンロード

発疹については溶血性連鎖球菌による発疹、伝染性紅斑、エンテロウイルス感染症、伝染性単核球症など似た症状を示す発熱発疹性疾患もありますし、薬疹との鑑別が必要になります。つまり3徴候のいずれかを欠くものについての臨床診断は困難になります。

風疹に伴う最大の問題は、感受性のある妊娠20週頃までの妊婦が感染したことにより、風疹ウイルス感染が胎児におよび、先天異常を含む様々な症状を呈する先天性風疹症候群(congenital rubella syndrome:CRS)が出現してしまう事です。

風疹の治療

風しんウイルスに対する特異的な治療法はありません。発熱、関節炎などに対しては解熱鎮痛剤を用いたり、症状を和らげる対症療法が行われます。

風疹の予防

予防としては,弱毒生ワクチンが実用化され、広く使われています。我が国では2006年度からMR(麻疹・風疹)混合ワクチンが定期接種に導入され、1歳と小学校入学前1年間の幼児(6歳になる年度)の2回接種となりました。それ以前は女子だけだったり、男女とも接種になっても移行期間中の接種率が上がらなかったりしてうまく接種できていない年代ができてしまっています。また、2007年以降も時限措置が設けられていましたが、乳幼児で定期接種化する前の年代にはなかなか接種が進んでいません。現在も名古屋市では、先天性風しん症候群を予防するために、風しん予防接種(麻しん・風しん混合ワクチンを使用)を無料で実施しています。後ほど詳しくお話しします。

先天性風疹症候群(congenital rubella syndrome:CRS)

さて、上記で少しお話しした先天性風疹症候群についてお話しします。実はここからが本題です。風疹のサーベイランス(感染者の把握=現在風疹は全数報告されることになっています)やワクチン接種は、先天性風疹症候群の予防を第一の目的に考えて行われているのです。

先天性風疹症候群とは、免疫のない女性が妊娠初期に風疹に罹患すると、風疹ウイルスが胎児に感染して、出生児に先天性風疹症候群(congenital rubella syndrome:CRS)と総称される障がいを引き起こすことがあります。

母親が顕性感染(けんせいかんせん:母体にはっきりと感染の症状が出た場合)した妊娠月別のCRS の発生頻度は、妊娠1か月で50%以上、2か月で35%、3か月で18%、4か月で8%程度だそうです。妊娠初期の感染で発症率が高いですね。しかし顕性感染ばかりでなく、成人でも15%程度は不顕性感染(ふけんせいかんせん=症状が出ない場合)があるので、母親が無症状であってもCRS は発生し得るのです。

先天性風疹症候群(CRS)の赤ちゃんの3大症状は、先天性心疾患、難聴、白内障です。
このうち、先天性心疾患と白内障は妊娠初期3か月以内の母親の感染で発生しますが、難聴は初期3か月のみならず、次の3か月の感染でも発生します。しかも、高度難聴であることが多いです。3大症状以外には、網膜症、肝脾腫、血小板減少、糖尿病、発育遅滞、精神発達遅滞、小眼球など多岐にわたります。先天異常以外に新生児期に出現する症状としては、低出生体重、血小板減少性紫斑病、溶血性貧血、黄疸、間質性肺炎、髄膜脳炎などがあります。また、進行性風疹全脳炎、糖尿病、精神運動発達遅滞などが見られることがあります。

CRS の診断は、症状、ウイルス遺伝子の検出以外に、臍帯血や患児血からの風疹IgM 抗体の検出が確定診断として用いられます。IgM 抗体は胎盤通過をしないので、胎児が感染の結果産生したものであり、発症の有無にかかわらず胎内感染の証拠となります。母親が発疹を生じても胎児まで感染が及ぶのは約1/3であり、またその感染胎児の約1/3 がCRS となります。CRS自体の治療法はなく、それぞれの疾患(心疾患、白内障、難聴のそれぞれ)について治療をしていくことになります。

心疾患は軽度であれば自然治癒することもありますが、手術が必要な症例は手術が可能になった時点で手術されます。白内障についても手術可能になった時点で、濁り部分を摘出して視力を回復するようにします。摘出後、人工水晶体を使用することもあります。難聴については人工内耳が開発され、乳幼児にも応用されつつあります。聴覚障害児教育も行われてきました。

以上を考えると、やはり予防が大切になります。

予防で重要なことは、十分高い風疹の抗体価を保有することです。

妊娠可能年齢の女性で風疹抗体がない場合には、積極的にワクチンで免疫を獲得しておくことが望まれます。夫が勤務先などで風疹に感染し、そこから風しんウイルスに感染してしまう事も起こり得ます。ですから、これから妊娠しようとお考えの場合は、まずご夫婦で風疹抗体価を測定することからはじまり、抗体が無いようでしたらワクチンの接種を行うことを強くお勧めします。

風疹のワクチンは生ワクチンなので、妊娠中のワクチン接種は避けるようにして下さい。
しかし、たとえワクチン接種後妊娠が判明したとしても、過去に蓄積されたデータによれば障害児の出生は1 例もないので、妊娠を中断する理由にはならないと考えられます。極めてまれですが、低い抗体価を保有していながら、再感染によってCRS を発生した例があります。

そこで、どのようにワクチンの接種をするか?と言う事が疑問になります。
現在も名古屋市では、先天性風しん症候群を予防するために、風しん予防接種(麻しん・風しん混合ワクチンを使用)を無料で実施しています。接種するワクチンはMR(麻疹風疹混合)ワクチンです。風疹単独のワクチンも無いわけではありませんが、流通量が少なく、麻疹(はしか)の抗体がある人にMRワクチンを接種しても麻疹に関する有害事象は起こらないことが分かっていますので、MRワクチンが使用されます。風疹単独のワクチンは名古屋市の助成の対象になりませんのでご注意ください。

助成制度の概要は名古屋市のホームページにも書いてありますが、概略は次の通りです。

抗体検査にかかる費用は自己負担となります。伊藤しあわせクリニックで抗体検査も予防接種も実施できます。抗体検査の結果は他院で行われたものでもOKです。結果を持参いただきますと、それを評価して上記の基準に該当すれば予防接種が可能です。

ワクチン助成の対象者

次の(1)から(3)のすべてを満たす方

  • (1)名古屋市に住民登録がある方
  • (2)次の①から③のいずれかに該当する方
    ①妊娠を希望する女性
    ②妊娠を希望する女性のパートナー
    ③妊娠中の女性のパートナー
  • (3)事前の抗体検査の結果が以下に示す数値に該当し、風しんに対する免疫が不十分と判断された方

抗体検査結果(接種できる人の基準)は、男性の場合、HI法で16倍未満の方、またはEIA(IgG)法(デンカ生研株式会社製キット)で6.0未満の方
女性の場合 HI法で32倍未満の方、またはEIA(IgG)法(デンカ生研株式会社製キット)で8.0未満の方

接種の受け方

対象となる方は、市内の指定医療機関(もちろん当院も指定医療機関です)で無料で接種を受けることができます。在庫の関係で予約が必要となりますので、あらかじめお電話などでお問合せください。抗体検査にかかる費用は自己負担です。既に抗体検査を受けられている方は、検査結果のわかるものをお持ちください。抗体検査が省略できます。接種を受ける際には健康保険証等の氏名、住所、生年月日を確認できるものをお持ちください。

風疹予防接種の注意事項

妊娠中の女性、妊娠の可能性がある女性は接種できません(女性は接種1ヶ月程度避妊し、確実に妊娠していない状態で接種を受けてください。)。女性は接種2ヶ月間の避妊が必要です。

風疹の予防接種は、生きた弱毒風疹ウイルスを接種し、感染して免疫をつける生ワクチンです。妊娠中に予防接種を受けた場合、理論上はワクチンに含まれる風しんウイルスによって先天性風しん症候群が起こる可能性があるため、妊娠の可能性がある場合は接種できません。また、接種後は体内からウイルスが消えるまで、2ヶ月間の避妊が必要です。ただし、万が一妊娠中に接種をしたことが判明しても、中絶を考慮する必要はありません。ワクチンに含まれる風しんウイルスは病原性が弱いため、実際に予防接種が原因で先天性風しん症候群が発生した事例は報告されておらず、そのような可能性はほとんどゼロに近いものと考えられています。ちなみに、男性が接種した場合の避妊は必要ありません。

流行の影響が身に降りかからないよう、早めの風疹抗体検査並びにワクチン接種をお勧めします

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