女性診療は産婦人科とどう違うの?

当院は、産科のみならず、女性の健康を管理する婦人科医としても、みなさまのお役に立ちたいと思い診療に努めています。予防接種は勿論、痛みを感じた時や風邪の症状、お肌のトラブルなど女性の皆さんの体調に違和感を感じた時にはお気軽にご相談ください。婦人科領域からの専門的アプローチで、思春期から更年期老年期まで女性の一生を通じてのホームドクターでありたいと思い診療しています。

外陰部のかゆみ
外陰部にかゆみを生じた状態を外陰瘙痒症(がいいんそうようしょう)と言い、症候性外陰瘙痒症(痒みを生じる原因がはっきりしているのも)と特発性外陰瘙痒症(かゆみの原因が不明なもの)に分けられます。症候性外陰瘙痒症の原因は、感染によるもの、アレルギーや物理的刺激によるもの、ホルモン減少によるものの3つに分類できます。市販薬を塗り続けても良くならなかった方が、カンジダの治療をして数日で治ってしまうことや、かゆみがきっかけで重大な病気が見つかる場合もありますので、受診をお勧めします。
おりもの
「おりもの」は専門用語としては「帯下(たいげ)」と言い、腟外に流出した性器分泌物や滲出液(しみ出して来た液)のことをさし、量が増えてくると「おりもの」として自覚されます。当院では、おりものを主訴に来院された方には、帯下(おりもの)を一部採取して顕微鏡でチェックしています。正常な場合は腟の壁を構成する細胞(扁平上皮)と常在菌が見えて整っている感じがしますが、ばい菌の感染が起こってくると炎症が起こり、白血球やばい菌が見える様になってきますので、心配な時は悩まず受診ください。
不正性器出血
ごく簡単に言うと、月経以外の性器出血です。起きる機序(仕組み)から見ると、機能性出血と器質性出血、妊娠に伴う出血もあります。出血の量についてはそれぞれの病態によって異なりますが、出血の量が多ければ貧血になってしまうので早期の受診を、出血が少量で断続的であっても2週間以上性器出血が続く場合はがんである可能性もありますので、気になる出血があった時には、自己判断は避けて受診されることをお勧めします。不正性器出血は、年齢や妊娠の有無、出血の部位、出血量などを考慮して系統的に診断します。
子宮内膜症
月経困難症を中心とする痛みが主な症状の病気ですが、性交時に下腹部が痛くなる、いつも下腹部が痛いと言う事もあります。子宮内膜組織に似たものが子宮内腔以外の所で発生・発育するもので、この病変は主に骨盤内にあるのですが、できた部位によって子宮腺筋症、卵巣チョコレート嚢腫、深部内膜症など色々な名称があります。治療は、内服薬・注射薬・点鼻薬による治療、手術療法があります。発病すれば長く付き合っていく必要のある病気ですが、以前に比べて良い薬もあり、上手に付き合って行けるようになってきています。
子宮筋腫
子宮筋腫は「子宮平滑筋に発生する良性腫瘍」で、約半数は無症状ですが、筋腫の大きさや発生部位によって、月経の増量(過多月経)、痛み(月経困難症)、不妊症といった症状が出る可能性があります。子宮筋腫のうち約95%が子宮体部に、約5%が子宮頸部に、まれに子宮腟部に発生します。30歳以上の女性の20~30%にみられるありふれたものですが、過多月経、月経困難症、圧迫症状は、内膜症など他の疾患でもみられることがあり、子宮肉腫や卵巣がんなど、悪性の病気と見分ける正しい診断が必要です。
月経痛がひどい(月経困難症)
月経が始まると症状があらわれ終わると症状もおさまるものが月経困難症。月経の3~10日くらい前から症状があらわれ月経が始まると症状は無くなるものが月経前症候群です。下腹部痛、腰痛、おなか(下腹部)の張り、吐き気、おう吐、下痢、便秘、頭痛、めまい、乳房痛、乳房が張る、不安感、憂うつ、眠気、怒りっぽい、イライラ、集中力低下といった症状が強くあらわれて、仕事や生活に支障があるという方は「月経前症候群」や「月経困難症」だと言えます。以前に比べ治療の選択肢が増えましたので、ご相談ください。
生理不順(月経不順)
月経が予定よりも早くきてしまうのは頻発月経といい、黄体機能不全と言って黄体の機能が低下した場合や排卵がうまく行われていない可能性もあります。月経が予定よりも遅くなってしまうのは希発月経といい、3か月以上月経が来ないのは無月経(むげっけい)と言います。月経が順調に来ないとか、全く月経が来ない場合には、判明した原因に対して女性ホルモンを使った治療や漢方薬を使うこともあります。無月経をそのままにしておくと子宮や子宮内膜の萎縮を起こして将来の妊娠にも影響が起こりますので、早めに受診してください。
妊婦健診
名古屋第二赤十字病院の周産期ネットワークに加入している当院では、お産は取り扱いませんが、妊婦健診は行います。母体と赤ちゃんが順調に経過しているかについて診察する妊婦健診は、妊婦と胎児の「健康診断」と捉えてください。適切な回数の妊婦健診を受けた妊婦はそうでない妊婦に比べてお産前後の経過が良好であるという報告もあります。名古屋市の場合は妊婦健診の中で、超音波検査を4回行うことができますが、当院では、頻度が上がる方が異常の発見がしやすくなるため、妊婦健診の時には毎回超音波2D検査を行っています。
特定健康診査・特定保健指導
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)は、糖尿病、高血圧症、脂質異常症など生活習慣病の発症前の段階を指します。これらの生活習慣病の予防を図ることを目的としたメタボ健診は、生活習慣を改善し、虚血性心疾患、脳血管疾患、糖尿病等の生活習慣病などの発症を減らす取り組みです。医療保険者が、40〜74才の被保険者・被扶養者を対象に特定健康診査と特定保健指導を実施することが義務付けられました。保険者から受診の案内(受診券)が届きましたら、受診券と保険証をご持参の上、当院までご連絡ください。
子宮がん検診
子宮がんには、子宮体がんと子宮頸(けい)がんがあります。子宮体がんは内膜から発生するもので、子宮内膜がんとも呼ばれ、30代でも発症することがありますが、40歳代から多くなり、50歳代から60歳代の更年期の前後で最も多くがんと診断されています。子宮けいがんの発生には、性的接触であるヒトパピローマウイルスの感染が関連している事や喫煙が子宮頸がんの危険因子であることがわかっています。子宮けいがんは30歳代後半〜40歳代に多く発症しますが、最近は、若い女性で増えている傾向にあります。
乳がん検診
乳がんの多くは乳管から発生する乳管がん、小葉から発生する小葉がんと、この他にあまり多くはありません特殊な型の乳がんがあります。乳がんは、しこりとして見つかる前に、乳房の周りのリンパ節や、遠くの臓器(骨、肺、胸膜、肝臓、脳など)に転移して見つかることがあります。注意深く触るとしこりがわかる乳房のしこり、乳頭から血の混じった分泌液が出る、乳房のエクボや乳頭や乳輪部分に湿疹やただれがなどの皮膚の変化、乳房周辺のリンパ節の腫れなどの自分で気付く症状がある場合は、急いで受診してください。
緊急妊娠
緊急避妊とは、避妊せずに性交渉をしてしまったときや、腟外射精の場合に外陰部へ射精した、コンドームが破れた・脱落してしまった・不適切な使用をした、経口避妊薬(OC)の飲み忘れや下痢などによる吸収障害、レイプや性的暴行後に妊娠を防止する方法です。モーニング・アフターピルとか性交後ピルなどとも呼ばれることもあります。日本語では「緊急避妊」という言い方が正式な名称となっています。当院ではご本人に説明の上で医師の目の前で、無防備な性交が行われてから72時間以内に内服していただいています。
不妊症
ご夫婦の間で妊娠を希望され、1年間性生活を行っているにもかかわらず、妊娠しないことを不妊症といいます。不妊症の原因は基本的には男女半々ですが、女性の場合、排卵が起こっているか、卵管がきちんと管(くだ)として機能しているか、子宮頸管から粘液が出ているのか、子宮内膜のコンディションが良いかなどに加え性交痛がある、子宮内膜症などの疾患によって骨盤内に癒着が生じているといった生殖器の構造と機能などの原因があります。35歳を超えると卵子の質が低下してきて、妊娠しづらくなることもあります。
低用量ピル(OC)
低用量ピルとは避妊の目的で内服する錠剤ですが、月経時の出血量が少なくなる、月経周期が規則正しくなる、月経による貧血が起こりにくくなる、ニキビの改善・肌がきれいになるといった効果も確認されています。避妊の効果を表現するパール指数では、男性の避妊手術0.1%、女性の避妊手術で.5%、子宮内避妊具(レボノルゲストレル放出IUD)0.2%、コンドーム(一般的な使用の場合)18%に比べ、低用量ピル(OC)では0.3%と確実性が高いデータが確認されています。体重が増加した報告はありません。
骨粗しょう症
骨の中身を新しくする骨代謝(リモデリング)により、骨破壊(骨を壊す)と骨形成(骨を作る)を常に行っていて、とくに女性は閉経後、骨密度が加速度的に著しく減少します。閉経によって骨代謝の加速に加え、骨破壊の加速から骨形成が追い付かず骨量が低下し、骨密度が異常に低下した状態が骨粗しょう症です。骨粗しょう症の予防をする上でも定期的な検査をお勧めします。当院では、すぐ結果が分かる超音波による骨密度測定器で骨密度を検査を実施しており、名古屋市の骨粗しょう症検診協力医療機関です。
更年期障害
更年期は、性成熟期と老年期の間で、閉経前後の10年間(45歳~55歳)にあたります。加齢による卵巣機能の低下に伴い、エストロゲン分泌が急激に減少し、身体的にも変化が自覚され、月経不順・のぼせ・ほてり・発汗・疲労感・不眠・不安・憂うつといった症状がみられるようになります。原因は女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が急激に低下する事が主体ですが、その他にご本人の性格やご家庭・職場といった生活環境も影響し、症状の種類や強さには個人差がありますが、日常生活に支障を生じた場合は更年期障害と言えます。
尿失禁治療
尿道が男性に比べて5分の1ほどの長さの女性は、中高年になるとおしっこトラブルと言われる症状で悩んでいる方が多く、トイレが近い(頻尿)、突然我慢できないような尿意をもよおすことがある(尿意切迫感)、急に尿がしたくなりトイレまで我慢できず尿が漏れてしまうことがある(切迫性尿失禁)、くしゃみや咳をした時、重いものを持ったとき坂道を下った時などに尿が漏れることがある(腹圧性尿失禁) といった症状がでます。頻尿や尿失禁が起きやすい病気には、腹圧性尿失禁や過活動膀胱の他にもいろいろあります。